星に愛された彼女は

~phantom~
客side

カランコロンと、客が来た合図が耳に入る

この場所にはいろんなヤバい奴らがいる

今度はどんな奴だ、とチラリと見ると驚愕した

歩くたびに揺れる黒髪、すらりとしたスタイル、ミステリアスな雰囲気の美女だ

誰の女だ、とその店の全員がその女の座る席を探す

ひとり…なのか?

その美女は一人でカウンター席に腰を下ろす

あんないい女が誰の物でもないのなら…

この店にいる全員がニヤリと笑っただろう

俺もそのひとり

席を立ち、声を掛けようと手を伸ばそうと思っていると

「すみません、レディー」

チッ…先を越されたか…

誰かは知らないがこの店を知っているというのなら名も通った奴なのだろう

あのいい女がどんなことをされてしまうのかと思うと身震いがした