抵抗せずに勢いのまま床に倒れる。
歯は折れてない…でも頬の傷は流石に隠せないな。
怜と沙紀に心配かけるのかと思うと蹴られたいた痛みよりも胸が痛んだ。
「さ、このまま付き合ってもらうよ?玲央くん。」
俺の胸ぐらを掴んで顔を近づけてくる東雲に一発だけでも殴ろうと拳に力を入れる。
油断するまで待て
一撃でいい拳を打ち込め
東雲が腕を振り上げる
また来るっ…
そう思い目を瞑ると
「か、カイト!」
誰かが東雲を止めた
「…なに?」
不機嫌そうに振り返る東雲に声を掛けた男は少し怯えた顔をする
「その…やるなら見えないところの方がいいんじゃない?」
そう言う男に東雲は怪訝そうな顔をする
「僕が何をしたって誰も咎めないんだ。隠す必要ないだろう」
少し俺の服を掴む力が弱くなる
いける…と、東雲の顔面にめがけて拳をとばす。
気づいた東雲が急いで避けようとしたが、避けきれずに頬に当たった。
さっきの俺と同じように後ろに倒れていく東雲の姿を見た瞬間、周りの男共が動いたが、それより早く俺は動いた。
一番厄介なのは俺の後ろにいる月森だ、後ろから押さえつけられたらもう終わり…!
バッと後ろを向くが月森は動かず自分の手を見つめている。
「殴るのっていたそう。ケンカなんて痛いだけじゃん」
そんな言葉が聞こえたので月森は無視することにする。


