星に愛された彼女は


怜も気が付いたのか落書きをされている壁を見ている。

「あ!玲央!ここって旧校舎じゃない?」

「旧校舎…?」

そういえばそんなものあったような…と、門をくぐったときに視界の端に写る旧校舎を思い出す。

私たち今、そんなところにいるのかぁ…

なんてぼけっと考えていると何かが動いた気がした。

すぐに振り向くが、続いている廊下の先には空き教室しかない。

誰か…いるのか?

確かにさっきこちらを誰かに見られているような気がしたんだけど…

「玲央?どしたの?」

怜が私の顔を覗き込むので誰かに見られてるような気がして…と言う。

その言葉に怜も警戒して辺りを見渡すがそれらしき人物の陰は見当たらなかった。

「んー?いないなぁ…」

でも玲央が感じたなら本当な気がするし…と、ジーと私が気にした方を眺める。

「…気のせいだったのかも」

怜に声を掛けるが怜は一直線に眺めたまま動かない。