………会話がない
教室をでてからというもの、怜は口を開かない
「怜」
声を掛けてみると少し間が開いてから…ん?と、小さく返事が聞こえる。
「…さっきのことなんだけど」
と、言うと視界の端で横にいる怜の肩がビクリと揺れる。
「怜っていつから沙紀のこと」
「うわぁぁぁぁ!!!!」
ガバッとフードが取れる勢いで俺の口を塞ぎに来る怜に目を見開く。
「むぐ…」
怜に声を掛けたいがそれは怜の手に拒まれる。
「ち、違くて!!さっき沙紀に言ったことは言葉の綾というか…!いや嘘ってわけでもないけど…!」
と、一人で暴走している怜に軽くチョップをする。
「イデッ!」
と、声を出す怜の手を今のうちに口から外す。
「ったく…話し聞けって。もう分かってるし」
怜は恥ずかしそうにジワジワと頬を赤く染める。


