「残念ながら…(わたし)の闇はお前じゃ取り除けない。」

そう言うと彼女は私から漏れていた殺気に当てられたかガタガタと震えた。

怯えてる…最初から私たちに絡まなければよかったのに。

もっと強い殺気を出したら気絶でもするかな?

「…玲央。」

スッと私と愛梨の前に怜が割り込む。

「なに…?」

あぁ…怜には殺気を当てたくないのに…

なかなか冷めない熱は怜に向けられそうになる。

「邪魔すんな…どけよ。」

「玲央、ダメだよ。」

私と怜のビリビリとした雰囲気に周りは見守っている。

「……」

怜の顔が近づいてくる。

なにする気?

ふわりと家の洗剤の匂いが香る。

怜が私の耳元に口を寄せて

『美玲、早く帰ってきて』

そう小さく、周りには聞こえないように呟いた。

ズキンと頭に痛みが響く。

「っ…ぁ…」

私の視界は怜の悲しそうな笑みを最後に途絶えた。