「…違うよ。」

そう言うと一歩ずつ私に近づいてくる。

「あのさ─」

「怜、今はいいよ。」

「…分かった。」

怜ごめんね?でも次は怜に目を付けられたら厄介。あの時ぶつかったのが怜だったら怜にこんなことしたんだろうな…

こいつが最初に見た顔が私でよかったと、ちょっとだけ思った。

「笑うわけないよ…ただ…あなたを前に進ませてあげたいの。」

そう言って私の頬に手を添えた。

「前に…?」

「ッ……!!!」

私はきっと彼女たちに見せてきた表情の中では一番冷めていて怖い顔をしていたと思う。