通い慣れた通学路を歩く私。
放課後になって生徒の姿は少なくなってくるけど、私はバスの時刻に合わせて学校を出る。
バス停に向かう道のりは、ついつい先輩のことを思い出してしまう。
告白すると宣言されたけど、あきらめようと思い悩む。
あれは体育会系のノリで言ってきただけ。
先輩も忘れてるに違いない……
赤信号の交差点、歩みを止めて青になるのを待つ。
私の視線は、バス停を見つめたまま。
信号が青になり、歩き進んでバス停へ向かう。
直前で立ち止まり、先輩が自転車に乗って姿を見せないかと後ろを振り返る。
でも、先輩の姿はない。
「はぁ~」
溜め息をつくと、幸せが逃げていく……
クラスメイトの子が話していた言葉を思い出す。
バス停の横にある、アクリル版の風防に目を向けると誰もいない。
横長のベンチ椅子に座り、何となく顔を横に向けてみる。
すると、手書きの張り紙が貼り付けてあった。
張り紙に書いてある内容を、よく見つめると……
待たせてスマン、無事に合格したぞ!
中学生の頃からずっと気になってた、お前のことが好きだ!
俺と、つきあってくれっ!
この思い、タライに届け!
「先輩……」
張り紙に書かれた言葉を見て、涙が溢れてきた。
目尻から頬を伝って流れ落ちる涙が止まらないよ。
手の甲で何度もぬぐってるけど、涙がこぼれ落ちてくる。
嬉しくて言葉が出ないけど、私は心の中で叫んでいた。
片思いだった先輩と、両思いになれたよ!ってね。
突然の夕立、びしょ濡れの先輩と雨宿りが縁で結ばれた恋心。
もし、あの時ゲリラ豪雨だったら
私と先輩は、出会わなかったかもしれないね……
~fin~