「俺から、お前に告白してやるぜっ!」


 自転車に跨がる先輩が、私の顔を見ないで右手の親指を突き立ててきた。


「じゃあなタライ、浮気しないでまってろよっ!」


 大きな声で私にそう言うと、先輩は全力で走り去っていく。


「先輩って、不器用ね……」


 頬を赤く染めて、後ろ姿を見送る私は先輩に何も言えないまま。


 一方的に宣言して、恥ずかしいから逃げていった印象の先輩。

 私より年上だけど、なぜか可愛く思えてしまう。


「そういえば、先輩の連絡先……聞いてなかった……」


 いつ合格発表があって、どのタイミングで告白してくれるか分からない。

 体育会系のノリで、勢いに任せて言ってきたのかな?



 でも、先輩の言葉は信じたいよね……