きみのことが大好きだからだよ。


だから良く見られたい。そんな狡い感情を抱えてる。

でも言葉にすること全部、本気で思ってることだよ。


「きっと?」


常盤くんが首を傾げる。かわいらしいしぐさに思わず笑みが漏れた。


「ううん。どんな形であっても常盤くんが好きなことに関われるようになればいいなあって思っただけ」

「答えになってないよ」

「なってるよ。常盤くんならぜったい、がんばれるよ」


答えにならないけど、言いたくて、伝えたくて強行突破してしまった。

そんなわたしに常盤くんはまゆげをハの字にして微笑む。そして言ってくれたんだ。「やっぱり」って。


そのやっぱりの意味が伝わってきてなみだが出そうになった。さっき泣いたから涙腺が弱くなってる。泣きたくなくて必死で耐えた。


自分でも何ができたなんてわからないの。

何もできないって悩んでいたくらいなのに、それでも常盤くんはいつだって、わたしのこと気づいてくれていた。


日葵の友達だとか、クラスメイトとか、果てしないとか、そう見られているだけだって思っていたけどそんな人じゃなかった。そういうところを好きになったのに、見失っていたのはわたしのほうだった。

惹かれたのはたしかに一瞬の出来事のせいだったけど…今はもうそれだけじゃない。

もう、果てしないなんて思いたくない。



その次の日、学園祭2日目、常盤くんは一番遅くに学校に来た。

教室がざわめく。


「え!清雨その格好…」

「野球選手になりたかったの!?」


その姿は無地の野球のユニホーム。アンダーシャツとおそろいの藍色の帽子までかぶっていて、手にはグローブがついていた。