「露木も?…おれも、そんな感じ」


まさかそんな言葉が返ってくるとは思わなかった。

見上げると困ったように笑う常盤くんがいた。やっと笑った。笑ってくれた。


「露木には泣いたところ見られてるから…弱音吐露してみた。ないしょな」

「ないしょにするよ……ねえ常盤くん、渡したいものがあるの」

「渡したいもの?」


本当はラッピングをして渡したかった。

本当はもう渡せないと思ってた。



左手首についてるラブラドライトのブレスレットをとってそっと差し出す。



「露木?」

「誕生日プレゼント、です」

「え、でもこれって駒井とおそろいのじゃ…」

「これね、願いをこめて、買ったの」


常盤くんが笑ってくれますように。

元気でありますように。これ以上つらい思いをしませんように。誰かを頼ることができるようになりますように。


たくさん願いごとをしながら買って、ずっと想いを続けながら肌身離さずつけていたもの。



「誰かがいっぱいつけてた石ってね、誰かを守るちからが宿ってるんだって」



日葵とおそろいのものだけど、ごめんね。

わたしにとってはそれさえもがこのブレスレットをつけ続けてきた意味だった。


「だから常盤くんにあげる」


きみのためのもの。

大事にしてきたよ。


けど…常盤くんがじっと見てくるからだんだんはずかしくなってきた。なんだかすごいことを言っちゃった気がする。


「あ、お古はいやかな…」


はやく受けとって。

きっときみは受けとってくれる。そういう人だってことくらい知ってるつもりだよ。だからそこに付け入るね。甘えさせてね。

願っているよ。


「露木ってたまに男前なこと言うよね」


くくく、と笑い声が聞こえて顔を上げる。


「ええっそうかな?…常盤くん笑いすぎじゃない?」


いや笑ってくれていいんだけど…!