だめだってば、いろはくん。

「ねぇ琥珀くん…もしかしてだけどー」
「烏兎、おれ烏兎と離れてから決めたことがあって…」

「決めたこと?」

正直良い予感はゼロ…なんならマイナスかもしれないくらい、


そんなあたしの考えも知らずに彼は色気たっぷりな表情であたしを見る

「そう、決めたの。ほしいものには遠慮しないって」

「っ…!!」


決してあたしの名前を呼んだわけでもなく、
なにか具体的な話をしたわけでもないのに、

こうやって期待させるのは本当によくないと思う。

こんなことにまったく慣れてないあたしの顔はきっと恥ずかしさで真っ赤だろう


そんなあたしに気づいてか、彼の少し骨ばった手が伸びてくる


「はは、まっかだね。可愛い。」

優しそうな笑顔と雰囲気。


この人が物凄い演技力の持ち主だってことさえ忘れそうな仕草