だめだってば、いろはくん。

「…烏兎、どこがだめ?」
「全部」

間髪入れず答える

珍しく琥珀くんの表情が曇る

でも嘘はついてない。

全部だめ


顔がとんでもなく良いとこも
性格がそれに劣らずめちゃくちゃ良いとこも
いつ勉強してるの?ってくらい忙しいのに頭がとても良いとこも
素人でも分かるくらい演技力がとんでもないとこも


あたしが彼を好きなところだから

全部だめ


「おれのこときらい?」

「嫌いになるの」

「まだ好き?」

「す…らいく」

「らぶ?」

「らいく!!」


なんなんだこの男は。

何のための十分休みだと思ってるんだ。

私はただの凡人jkで授業を休むとそれなりに大変なんだ。


「もう行かなきゃ」

「分かった」

今度こそ?

「烏兎がだめでも、おれはいいから話しかけるね」