「あ……」 わたしは登りやすそうなテトラポットを発見した。 ここなら最適……かな? スカートでは少し登りづらい桟橋の手すりを越えて、わたしはテトラポットの上へと着地した。 ここなら海に近いし、眺めもいいしで一石二鳥だ。 わたしはここで歌うことにした。 「すぅっ」 この曲ーーわたしにらとっては懺悔でもあるこの歌。 全身で息を吸い込むと、少し冷たくなり始めた10月の空気が肺にしみる。