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「卒業おめでとうございます」

「部活遊びに来てくださいね!」

「また遊びに行こーな!」




今日は卒業式。

みんなが別れの言葉を掛け合ってる中俺はある人を待っている。





「海里せんぱーい!!」



少し遠いところから俺の名前を呼んでトコトコと走って来る彼女……


「結ちゃん」


俺は結ちゃんに呼び出されていた。


目の前まで走ってきた彼女は紙袋を突き出してきた。


「あの!これ!
海里先輩にはたくさんお世話になったので、プレゼントさせてください!」


紙袋を受け取って、開けていいか確認を取ってから紙袋からプレゼントを取り出した。




「これって……」


「先輩前に欲しいって言ってましたよね?
これなら喜んでくれるかなと思って!」


そこに入っていたのはヘッドホンだった。



前に結ちゃんと話している時に
欲しい物の話になって俺がヘッドホンが欲しいって言ったのを覚えてくれていたらしい。


こんな何気ない会話も覚えてくれてて
また愛おしい気持ちが溢れてくる……



「ありがとう
すごく嬉しい、大切にする」



そう言うと嬉しそうに
えへへっと笑う結ちゃん。


その笑顔に何回心臓が壊れそうになったか。
何度想いを伝えそうになったか。

君は何も知らずにそうやって笑うんだ。



笑った顔も照れてる顔も
泣きそうな顔も細い指も
俺を呼ぶ声も結って名前も
全部が愛おしい


全部を俺だけのものにしたかった……







「では!私はこの辺で!
先輩、卒業おめでとうございます!」


くるっと振り返って来た道を戻ろうとする結ちゃん。