若旦那の恋は千鳥足

「わっ!」



不意に目が覚め、私は辺りを見渡した。
心臓が口から飛び出しそうに、ドキドキしていた。



(なんだ…夢か……ん?)



「わ、わわっ!」



顔が濡れていた。
触ると黒いものが手についた。
さらに、鼓動が速くなる。



「な、なんだ……」



傍らにコーヒーの缶が落ちていた。
飲み掛けを置いてたのが、落ちてこぼれたみたいで、シーツに黒いシミを作っていた。



(あ、そっか。
缶が当たったから、頭が痛かったのか…)

半身を起こして、鏡を見てみた。
顔はちょっと汚れてたけど、頭に角がなかったことにほっとして、私は小さなため息を吐いた。



あぁ、びっくりした。
全く、変な夢見ちゃったな。
なんで、ファンタジー仕立てだったんだろう?
この前、テレビでファンタジー映画見たせいかな?



ふと時計を見ると、帰って来てからすでに二時間程が経っていた。



(二時間も?思ったより長く寝てたんだな。
とりあえず、お風呂入らなきゃ。
あ、シーツも替えないと。)



私は慌ただしく動き始めた。