その連絡が来た時、ユナは自分の部屋で眠っていた。


「ユナ、起きなさい」


母親の深刻そうな声で起こされて、ユナはすぐに鼓動が早くなるのを感じた。


あの死神にシュンヤの寿命を訪ねてから、ちょうど一ヶ月が過ぎていた。


「朝になってから連絡しようと思ったけれど、ユナは毎日お見舞いに来ていたから、すぐに知らせてくれたんですって」


白い車を運転しながら母親が言う。


助手席に座っているユナは「うん」とだけ答えた。


車内はとても静かで、窓の外はまだ真っ暗だ。


通り過ぎる車はほとんどなくて信号は点滅になっている。


こんな時間に母親と一緒に外にでる機会なんてほとんどなくて、なんだか異世界にでも来てしまったかのような錯覚を覚える。


病院に到着すると、母親が車を駐車場に止めている間にユナは病室へ向かった。


いつもの慣れた廊下を進み、エレベーターで2階へ上がる。


201号室の近くまで来た時、看護師さんや担当医の声が聞こえてきて歩調を緩めた。


「シュンヤ頑張って! シュンヤ!!」


「死ぬなよシュンヤ! 頑張るんだ!」


この声はシュンヤの両親だ。


ユナは唾を飲み込んで足を進めた。