それがなぜだかはわからないが、実際に会った死神は確かにシュンヤの命を奪うことはなかった。


だから、あの噂は穴があるけれど本物なんだ。


「第4診察室に入るためには色々と条件があったけれど、それをクリアして、俺は入ったんだ」


「第4診察室に?」


シュンヤは頷く。


ユナはさすがに胡散臭そうな表情になってきた。


けれどシュンヤは目を輝かせたまま話を続ける。


「死神に寿命を質問したら、80歳だって言われた」


「本当に?」


「あぁ。俺はこれから80歳まで生きるんだ。ほら、ユナだってこの前元気そうだって言ってくれただろう? 両親だって、よくなって退院できるってずっと言ってくれていた。俺はそれが嘘だと思ってたけど、本当のことだったんだよ」


嬉しさで感情が溢れ出してしまいそうだった。


シュンヤの顔に笑顔が溢れ、それにつられるようにしてユナも微笑む。