「昨日の夜、死神に会った」


その言葉にユナは一瞬で笑顔を凍らせた。


そして左右に頸を振って「なにを言い出すの? 死神だなんてそんなの……」と、混乱したように眉を寄せる。


シュンヤは慌てて「そうじゃない。俺の命を奪いに来た死神とは違うんだ」と、弁解した。


「どういうこと?」


「隣の病室にユウキっていう同い年の子がいるんだ。そいつから聞いた話で、この病院には第4診察室が存在していないんだ」


ユナは頷く。


4という数字を嫌う建物が数あることは、説明しなくても知っているようだ。


「だけど、その第4診察室を出現させられる方法があった」


「なにそれ? それと死神と、どうつながるの?」


「死神はその第4診察室の中に出てくるんだ。そして寿命を質問すると、答えてくれる」


「命を奪うんじゃなくて?」


シュンヤは「そういうことはしない」と、答えた。