ご飯を点滴でもらうようになった。


もう、自分の口で食べることはないんだろうか。


それでもシュンヤは起きているような、眠っているような状態を続けてなにも言えなかった。


意思の疎通ができなくなった息子を見て、両親はどう思っているだろう。


なにを話しても答えず、なにをしても反応を示さない。


それでもシュンヤには両親の声が聞こえてきていた。


返事ができないのが、もどかしい。


「おい、聞こえてるか?」


不意に聞こえてきたその声はユウキのものだった。


突然意識が急速に浮上して行くのを感じる。


これは痛み止めで打たれている点滴が切れた時に訪れるものだった。


「ユウ……キ」


うっすらと目を開けてその名前を呼ぶ。


ユウキはベッドの隣にいて、シュンヤの顔を覗き込んでいた。


それにしてはやけに低い位置にいるなと思ったら、車椅子を使っている。


シュンヤは驚いて少しだけ目を見開く。