中学2年生に上がった時、キユナは他の学校からの転校生として恐怖中学校へやってきた。


教卓の前に立って自己紹介をして、先生に教えられた席に座る。


その間キユナは自分が上手に笑えていたかどうかわからなかった。


父親の仕事の関係で転勤が多くて、小学校の頃から転校を繰り返してきた。


今回で3度目の転校だ。


そのたびに一生懸命クラスに馴染もうとするのだけれど、なかなかうまく行かない。


優しい友人が助けてくれることもあったけれど、1人ぼっちの休憩時間を過ごすことの方が多かった。


今回の学校ではどうだろうか。


期待と、諦めが心の中で交差している。


あまり期待しすぎず、目立たないように、だけど愛想よく。


そうしていれば1人くらいは仲良くなってくれる子がいる。


最初の休憩時間が始まると、さっそく女子生徒たちが話しかけてきてくれた。


「キユナちゃんって言うの?」


「どこの中学校から来たの?」


こうして最初に話しかけてくれる子たちはクラスの目立つグループだと知っている。