〝医者として〟……律貴にとってはそれが本心なのだろうと、少しずつ信じる気持ちを取り戻していく。
でも、朝美さんは確実に彼を想っている。その事実がある限り不安が拭えない。
複雑な表情で黙考していると、彼が包み込むように私の肩を抱く。
「より子も、気持ちは溜め込まないでなんでも吐き出していいよ。『全部受け止める』って言っただろう。あなたをもらうと決めたときに」
求婚されたときに聞いた懐かしいひと言。
あれはやっぱり冗談じゃなかったんだと思うと同時に、彼の優しい表情に感化されて心が解れていく。私の嫉妬まみれの想いを聞いても、本当に受け止めてくれるんだろうか。
「……嫌」
俯いてぽつりと呟いたのを皮切りに、抑えていた感情が溢れ出す。
「律貴に私以外の女の子が近づくのが嫌なの。あなたが患者を無下にはできないのもわかるのに。あの子に、律貴を取られたくない……!」
初めて本音を口にした途端、なぜだか涙がこぼれ落ちた。律貴は意表を突かれたのか、目を見開いて固まる。
まるで駄々をこねる子供だ。恥ずかしいやら気まずいやら、いろいろな感情がごちゃ混ぜになる。



