「ねえ……朝美さんの主治医って、どうしても律貴じゃなきゃダメなの?」
気がつけば、隣に座る彼にそう尋ねていた。主治医を変えるなんて、それなりの理由がなければ無理だろうとわかっているのに。
キョトンとした律貴は「なに、急に」と怪訝そうにするも、とりあえず質問に答えようとしたらしく口を開く。
「朝美は通院してる頃から診ていて、彼女の身体の状態を一番理解しているのは俺なんだ。手術も予定しているから、今からは変えられない」
その答えは予想通りで、心に巣食った不安が濃くなるだけ。『彼女の身体の状態を一番理解している』というひと言にすら嫉妬して、手のひらをぐっと握る。
「……あの子は律貴をただの医者だとは思ってない。あなただって、特別な感情があるんじゃないの」
ずっと胸に秘めていたものが、重苦しい声色になってこぼれた。目を合わさなくても、律貴の表情が強張ったであろうことがわかる。
彼は戸惑いを露わにしながらも、私を宥めるように穏やかさを絶やさずに言う。



