俺の子を産めばいい~エリート外科医の愛を孕む極上初夜~


 その日、律貴は当直で帰ってこなかった。

 私の頭の中にはずっとふたりの残像があって、悪い想像ばかりしてしまう。食欲が湧かないのは大きくなってきた赤ちゃんに胃が圧迫されているからなのか、精神的なものなのかわからない。

 翌日の午前十時、休みの私は日課の血圧測定を忘れていたのに気づき、リビングのソファに座って血圧計を腕に巻きつける。ぼうっとしながら圧迫感がなくなるのを待っていたとき、玄関のドアが開く音がした。

 いつもはひと晩会わないだけで寂しくて、律貴が帰宅すると嬉しくて自然に笑顔になって迎える。しかし、今日ばかりは明るく振る舞えそうにない。

 リビングのドアが開かれると同時に血圧計を腕から外し、ソファに座ったまま浮かない声で「おかえり」と挨拶した。律貴はいたって普通で、微笑みを湛えて私のそばに歩み寄る。


「ただいま。体調はどう?」
「うん、まあ普通……」


 真っ先に私の身体を気にかけてくれるのもいつも通り。でも、それも私自身を純粋に心配しているのではなく、赤ちゃんの母親だからという思いからなのかもしれない。

 考えが卑屈になっている自分は嫌なのに、どんどん闇に呑み込まれていく感覚に陥る。