なにげなくそちらへ目線を向けた直後、思わず二度見してしまった。
かろうじて見えた白衣の男性は律貴で、彼と向かい合っているのはパジャマ姿の朝美さんだったから。
もう入院していたんだ、と思った次の瞬間。彼女は律貴の腕を掴み、そのまま彼の胸に額をくっつけた。それを、律貴は引き離そうともせず受け入れている。
──なに、あれ。どういう状況?
明らかに親密な場面を目撃し、頭を殴られたかのような衝撃が走った。ただの患者と医者があんなふうに密着するだろうか。
その人は私の旦那様なの、取らないで。律貴もどうしてされるがままなの?
心の中で何度も叫ぶだけで、実際はどうすればいいかわからない。結局ぱっと顔を背けて、逃げるように歩き出す。
それから帰るまでの記憶が曖昧なほどふたりの姿はショックで、胸の中は台風が来たかのごとく激しくざわめいていた。



