朝美さんの想いを知ってから、結婚しているからとうかうかしていられない状況になっている。
律貴にさりげなく彼女について聞いてみたところ、近々入院することになったという情報だけ仕入れた。
病気が思わしくないのだから心配ではあるが、それ以外の不純な気持ちも抱いている。彼女が律貴と関わるのは、私にとっては脅威だから。
悶々とした日々を過ごしていると、伊吹ちゃんの旦那様である明神先生が久々に図書室にやってきた。彼ほどの敏腕ドクターでも常に勉強を怠らないらしく、調べものをしに時々やってくるのだ。
そうだ、彼に探りを入れてみよう。律貴と朝美さんが接している場面に出くわしたことがあるかもしれない。
先生が書籍を手にカウンターへ来たとき、ちょいちょいと手招きする。不思議そうに身を屈める彼に、私は口元を手で隠して小声で尋ねる。
「あの、明神先生……私の旦那、患者さんに手出したりしてませんよね?」
「いきなりなんてことを」
即座に返した先生は、無表情だけれどギョッとしている。普段あまり顔に喜怒哀楽を表さない彼でもわかる。



