彼にくっついた状態のままで黙考していると、私の浮かない表情を覗き込まれる。
「嫉妬した?」
図星を指されギクリとした私は、咄嗟に顔を逸らした。
「そんなんじゃないよ。もし不倫だったりしたらお腹の子がかわいそうだから、そうじゃなくてよかったって思っただけ」
ああ……また可愛げのない言い方になってしまった。律貴の気持ちの在り処がわからないから素直になれない。
彼は呆れが交ざった表情で、宥めるように言う。
「不倫なんかするわけないのに」
「わからないじゃない。私たち、子供を作るためだけに結婚したんだし……」
あなたが別の人を想っていても仕方ない、とまでは続けられなかった。本当はそんな簡単に割り切れやしないとわかっているから。
複雑な感情が絡まって口をつぐんでいると、大きなため息が聞こえてくる。
「俺をあの円城とかいう男と一緒にしないでもらえるかな」
かなり不本意そうに口にされたのは懐かしい名前。だいぶ薄れているその人物の記憶を引っ張りだそうとするも、突然私は律貴に背中を向ける体勢に変えられる。



