「名前までわかるの?」
「栄先生も、その子のこと名前で呼んでいたみたいなんです。『アサミ』……だったかな? 知り合いなのは間違いないですね」
柚ちゃんは顎に手を当て、探偵みたいに推理する。彼女から出てきた数々の情報に、胸の中が急激にざわめき出した。
律貴も名前で呼んでいたって……そのアサミさんとは、一体どういう関係なの?
ぐるぐると思考を巡らせていると、ふいにずっと前にした彼との会話がよぎる。
『可愛いところもあるし、綺麗な子だよ。明るくて、こっちまで元気がもらえるような』
『へぇ~、ゾッコンじゃないですか。医療従事者とか? 年は?』
『年下。医療従事者ではないけど、病院に来てはいる』
綺麗な子、明るい性格、年下、医療従事者ではないが病院に来る人。
それだけではもちろん確証とはならないが、彼が挙げていた特徴に合致しているし、これまで女性の影がなかったから疑ってしまう。
そのアサミさんが、律貴が片想いしていた相手なんじゃないかって──。
彼はフラれたようなものだと言っていたけれど、もしまだ気持ちが残っていたり、会ったことでぶり返したりしたらどうしよう。



