しかし、私に都合のいいことばかりで、彼の気持ちがおざなりになっているのはいただけない。
「でも、栄先生が私と結婚するメリットはなにも……」
「俺は、より子との子供が欲しい」
悩んでいる最中にストレートな言葉が投げかけられ、ドキン!と大きく心臓が跳ねた。
今、結構すごいことを言われたよね……?と信じられない気持ちで瞠目する。彼は情熱を湛えたぶれない瞳で私をじっと見つめ、「あなたは本当に子供が好きそうだから」と続けた。
「病院で子供たちに本の読み聞かせをしているとき、皆すごく楽しそうで。あなたが母親になったら、きっと人一倍愛情を注ぐんだろうなと思っていたよ。そういう人を妻にしたい、とも」
少し頬を緩めた彼に意外なことを言われ、私は目を見張った。
私たち司書は、入院している子供たちに定期的に読み聞かせをしている。私自身も楽しみながら登場する動物やら恐竜やらになりきって読んでいるのだが、子供たちがいつも笑ってくれるのが嬉しくて仕方ない。
その姿を、まさか栄先生が見ていたなんて全然気づかなかった。好印象を持ってくれていたことも。
「だから、あなたの無茶な条件に人生をかけてみるのもいいと思ってる」



