黙り込んで肩を落とす私に、栄先生は心なしかイラだっているような声色で言う。
「わかったら、あんな男は切り捨ててさっさと次へ進むべきです。あなたを欲しがっている人はほかにいますから」
なんとも無責任な発言に、私は眉根を寄せて彼を見上げる。
「適当なこと言わないで。そんな人がいないから困って──」
「ここにいるよ」
意味がわからず、口をつぐんだ。真剣さを感じる瞳がまっすぐ私を捉えている。
「俺と結婚すればいい」
さらにありえない言葉が飛び出し、私はぽかんとして固まった。
栄先生って、手術の腕はよくても冗談のセンスは悪い人? だって、あまりにも笑えなさすぎる。
「……は?」
「あなたの条件、すべて呑むから。セックスは子供を作るときだけ。でも、子供にはちゃんと愛情を注ぐと約束する」
真面目な顔で宣言する彼に、ますます頭が混乱する。簡単に信じられるわけがない。この彼に求婚されるなんて。
私は引きつった笑みを浮かべ、身振り手振りをしながら物申す。
「あの、冗談を言うならもっと笑えるヤツにしてくださいよ! これでも私、多少なりともショックを受けているんです。今そんなふうに言われたら飛びつきたくなっちゃうでしょう!?」
「どうぞ。全部受け止めるよ」



