悩んでいる最中のせいか、私の口は正直に動く。
「以前、婚活で知り合った人なんです。一度断られたんですけど、考えが変わったみたいで。彼とだったらうまくいくのかも……」
「あいつ、看護師も口説いていましたよ」
聞き捨てならないひと言に遮られ、私はつい足を止めて栄先生を見上げる。
「え?」
「あなたが身体の関係を持つのが嫌いだというのを理由にして、ほかの女性と遊ぶ気のようです。この耳で実際に聞いたので間違いありません」
無表情の彼が、冷めた口調で淡々と語る内容に衝撃を受けた。
本当に今の話が真実なんだろうか。でも、突然手のひらを返して私に求婚したのがそういう思惑からだとすれば腑に落ちる。
おそらく、ステータスのひとつとして結婚はしたいが、ひとりの女性に縛られたくないのだろう。私と結婚すれば、セックスをしない代わりに外で遊ぶのを容認してもらえるかもしれないと、再会して考えだしたんじゃないだろうか。
なんだ、私はただ都合のいい女だったってことか……。
納得しつつ、やはり残念な気持ちにもなる。それは円城さんが軽薄な人だったからというより、私の思いを汲んでくれる人ではなかったから。



