喜びのあまり、彼に自然に腕を伸ばして抱きつく。彼も感動した様子でしっかりと私の身体を受け止め、「おめでとう」と温かい声を紡いだ。

 興奮冷めやらぬまま、私はもう一度検査薬を確認する。


「間違いじゃないよね? え、本当にすごい! だって、一回で授かるなんて!」


 子供を望んでいた私たちは最初から避妊せず、排卵日を狙って夫婦の営みをした。

 とはいえ、一度の行為で妊娠するとは思わなかった。確率は決して高くないと、もちろんわかっている。どれだけタイミングと相性がよかったのか。

 口元に手をあてて感激している私に、律貴はいたずらっぽく口角を上げる。


「正確には一回じゃないけどね。ひと晩で何回もしたんだから」
「生々しいこと言わない」


 耳が急に熱くなるのを感じながら、じとっとした視線を送る。確かにあの夜は一度だけでは済まされず、私が気絶したように眠るまで彼の情熱を注がれたのだけれど。

 その証が、今私の中で生きている。


「ここにいるんだ……」


 見た目にはなんの変わりもない平らなお腹に手を当てて呟いた。ここに新しい命が宿っているのだと思うと、とても神秘的で愛おしくて口元が緩む。