そこではたと気づく。〝年下で、医療従事者ではないけど病院に来ている人〟というヒントが、自分にも当てはまることに。

 絶対私は眼中にないと思い込んでいたから、今の今まで考えもしなかった。

 信じられない。夢でもここまで都合のいい夢はないんじゃないだろうか。こんなにドキドキしたらまた血圧が上がってしまいそうだけど大丈夫かな。

 なんの言葉も発せずただ感激している私に、律貴は真剣な表情で続ける。


「より子にも、錯覚するんじゃなく自分から好きになってもらいたかったから、今まで想いを伝えるのは我慢してた。でもあんなふうに嫉妬してくれたのは、同じ気持ちになった証拠だと思っていい?」


 そうか……ずっと前に『好きだって言われると、私も好きかもって錯覚しちゃう』と話したから、私が自分から彼に落ちるのを待っていたんだ。

 それは正解だったと思う。律貴の気持ちがわからないから悩んで焦って、必死になるほどあなたが好きなんだって実感させられたのだから。

 今朝のみっともない自分を思い出して恥ずかしくなるけれど、もう意地を張ったりはしない。