「あなたが律貴の後輩なのは知っています。昨日、ここで彼にくっついていたのも見ちゃいました」
朝美さんの表情は強張っている。私に責められると思っているのかもしれない。
「朝美さんも、律貴のことが好きなんですか?」
確認のためストレートに問いかけるも、これってなかなか修羅場なのでは?と不安になり始める。
逆ギレされたらどうしよう……なんて心配していたとき、彼女はすうっと吸い込んだ息を静かに吐き出し、口を開く。
「好きですよ。たぶん、あなたよりずっと前から」
庭の芝生を見るともなしに眺めながら、彼女はそう答えた。私よりも長い付き合いなのだと実感させられて、胸がチクリと痛む。
「でも、今は昔ほどの熱はないかな。結婚しているし……赤ちゃんもいるんだもの。私なんかが相手にされるわけないって、十分わかっているから」
彼女は私の大きなお腹を一瞥し、嘲笑を漏らした。
もっと奪う気満々なんじゃないかと想像していた私は、意外な反応にキョトンとする。
「なら、どうして律貴に迫っているの?」
単純に気になって問いかけると、朝美さんの目線がみるみる落ちていく。わずかに逡巡したあと、ゆっくり語りだした。



