その声は低く威圧感のある感じ…
言い換えるなら"ライオン"だ。
そんな声が私の後ろから聞こえてくる。
初めて聞くはずその声に、体が止まる。
ゆっくり振り返るとそこには、黒のビジネススーツに身を包み紺色のネクタイを締め、190㎝はありそうなガタイのいい長身の男性が、ポケットに手を入れながらこっちを見ていた。
髪は黒のハーフオールバックでワックスとスプレーで固められている感じだ。
顔はパーツがはっきりしており、整った太い眉に切れ目の瞳。
鼻筋も高く、まさにイケメンだった。
その姿を目にした瞬間息が止まるような感覚に陥った。
その人は叶斗兄から目を逸らさずに私の肩を抱き寄せる。
叶斗兄の手が離れ、私は男の人の胸にすっぽりと収まった。
あまりに急な出来事で体が固まる。
「誰だ、お前は!」
「そっちこそ誰だ。俺は妹が嫌がっていたから止めさせてもらっただけだ」
"妹"?
私は下から見上げるように抱き寄せている男の人を見る。
その人も私を見て視線が交わる。
妹と言うってことは、お兄さんだよね?
星羽兄さんは末っ子だって言ってたから、長男か次男だろうけど…
確かに、言われてみれば何となく星羽兄さんに似ているかも。
見つめ合うこと数秒。
叶斗兄の声に意識がそっちに向く。
「妹だと?悪いが、そいつは俺たちの実の妹だ。
一緒に帰るからこっちに渡してくれないか?」
「"断る"…と言ったら?」
