「はい、静かに!憶測や噂をするのは止めなさい。
遥華さんは先程芸術科の過去問を解いて満点を取った為、正式に転校してきました」
「ま、満点!?」
河合先生の言葉に愛華が信じられないと立ち上がる。
でも、残念ながら嘘ではない。
ちゃんと先生が見張って先生が採点したのだ。
不正のしようがない。
まぁ、私もまさか満点を取れるとは思ってなかったけど…
愛華は強く手を握りしめながら私を睨む。
いつもの私なら顔を逸らすだろう。
でも、もう逃げない。
私はあえて逸らさず見つめ返す。
元を言えば愛華より私の方が勉強が出来る。
成績だって私の方がいいのだが、いつもどれだけ努力しても結局父や兄たちは愛華の言葉を信じてしまう。
"遥華に邪魔されて勉強が出来なかった"
"遥華に物を取られてテストで解くことが出来ない問題があった"
"遥華にいじめられた"
"遥華に教科書を奪われた"
口を開けば"遥華に__"から始まるのだ。
私がやってないと言っても、何故か愛華の教科書や文房具が私の鞄から出でくるから誰も信じてくれない。
でも、これからはやられっぱなしじゃないから。
「遥華さん、空いてる好きな席座っていいわよ」
河合先生に言われ教室内を見渡す。
教室は講堂のようになっていて、席が階段式になっている。
長い机に4~5人は座れるだろう。
その時、見覚えのある姿を見つけた。
顔は伏せていて見えないがあれは間違いなく星羽兄さんだ。
星羽兄さんは後ろから二列目の席に座っていて、その隣の通路側には眼鏡をかけた真面目そうな男の人が居た。
どの机も三人以上は座っているが星羽兄さんがいる机だけ彼ら二人だけしかいない。
その横の列も後ろも前も誰も居ない。
もしかして星羽兄さんが女性嫌いだから誰も近づかないのかな?
でもどこでも座っていいのなら近くに知っている人がいる方が良い。
星羽兄さんがいる机じゃなくて、通路挟んで隣の机なら大丈夫だろう。
隣じゃないし、間には男の人がいるし。
そうと決めたらそっちに向かって足を進める。
