「実は大学に合格していたんだよ。
でも、入学金とか払われてなかったから大学側は辞退したと思っていたそうなんだが、君の成績が優秀だったからね。
特に提出された模写。大絶賛で教授たちも残念がっていたから今から入ることは可能かと聞いてみたんだ」
模写。
それを言われて思い出す。
私が受けた大学は医学科や情報処理科、教育科と言った所謂よくある学科は勿論あった。
でも、もう一つ大学の特徴のとして"芸術科"と言うものがあった。
そこは名前の通り絵や陶芸、ガラス細工などのモノ作り。
音楽関係や衣装のデザインなど芸術に特化した学科があるのだ。
その学科を受験する人は必ず自分が受けたいもの、絵なら水彩画や色鉛筆画などの提出。
音楽は二次試験があり、楽器演奏や作曲した音源を流し面談するのだ。
その時私は鉛筆だけで描いた自分の部屋から見た風景画を提出した。
題名は 『過去と未来』
あの頃の私の今はモノクロで毎日をただ生きているだけ。
何の刺激もなく光がなかった。
きっと明日も同じ毎日を送るだろう。その先の未来も…
でも、もしかしたら何か起こるかも。
自分を変える何かが起こるかもしれない。
そうして、この何もない色の日常に自分で色を付ける日がくるかも…
まだ見ぬ未来に自分なりの色を塗ろう。
そんな意味を込めた。
そっか…私、合格してたんだ。
でも、さっき都重さんに言われた通り入学金を払って居ないし入学時期でもない。
ますます意味が分からず頭を傾げる。
