「悪い、会社に戻る」
「分かった。気を付けて」
凌羽兄の言葉に頷き進もうと足を踏み出そうとした時、何か思い出したように声を漏らし俺に向き直る。
え、俺?
俺に何か用があるのだろうか…
するといきなり凌羽兄と同じように頭に手を置かれた。
急なことに俺は驚きながら兄さんを見つめてしまう。
すると兄さんはフッと軽く微笑んで、
「別に女性が苦手でも構わないが、親父に余計な気を遣わせて迷惑かけんなよ」
それだけ言うと仕事に向かって行った。
俺は不貞腐れながらまた髪を直した。
「言われなくても分かってる、」
そうボソッと呟いた。
