見切りをつけた日から目まぐるしく季節は
流れた。
幸か不幸か柚菜の記憶喪失は長期戦にならず
あっという間に再度 一那君に奪われてしまった。
不覚にも心情的には2度 嫁に出した気分を
味わってしまうとは。
記憶が戻ったと実家に息も絶え絶えに戻って来た
娘を目の当たりにした妻と使用人はそっと涙するほど
痛々しかったと後に聞いた時は殺意を覚えた。
柚菜は何も口にする事はなかったが・・・・
親として何処まで介入すべきなのか・・・
妻は寄り添っているが妻自身、ゲッソリしていく姿に
父親とはなんと無力な存在となのだろうと
己に失望してしまう。
自分に出来る事は香菜の監視だけ。
今の様子だと時すでに遅しの感は否めないが
父として柚菜に寄り添い、弁護士として香菜に接する。
「パパ、忙しいのに私と夕食なんて食べていて良いの?」
ニコニコと笑いながら話す娘は昔と変わらない大事な娘。
その笑顔が例え会うたびに少しだけれどお小遣いを渡している
からだとは思いたくないが・・・
「お前は家に寄り付かないから生存確認だ!」
「なにそれ 急死するような年でも無いし友達と一緒に
住んでるんだから大丈夫よ。」
生存確認と言う名をかたる監視。
心の中で呟く声が香菜に届く事はあるのだろうか?
以前は月に1度も無かったのに今や10日に1回は夕食を伴にする。
最初はギラギラした目をしていた香菜も回を重ねるごとに
落ち着いてきたように思えるのは親の欲目だろうか?
自分の事しか話さない聞かない娘を前に反省を重ねた
娘を邪険に扱ったつもりは無かったけれど娘はそう感じて
おらず、寂しい思いをさせたのかもしれない。
そう思う反面、働き手の自分が頑張ったから今の生活が
成り立っている事を理解して欲しかった。との気持ちも
持ち合わせる。
「ママは元気?」
その問いに嬉しくて涙が出そうになった。
丁度、一那君の取締役就任後で落ち着いた頃に発せられた
言葉。
「元気だよ。 だけどお前が思っている以上に年を重ねたから
たまには顔を出して安心させなさい。」
「そうね・・・顔、見に行こうかな」
「きっと喜ぶぞ」
「うん・・・」
その後、香菜が実家には顔を出さなかったが妻が連絡を取り
ランチをしたと聞いた。
妻はその日 とても嬉しそうに話してくれた。
妻に聴きたかった・・・香菜は大丈夫か?と・・・
怖くて聞けなかった。
妻が傷つくのも怖かったし、自分が我が子に抱いた疑念を
吐露して良いのか。
妻が香菜に対して自分が抱いた感情を持ち合わせていなかったら
悪戯に傷つけるだけになってしまう・・・
そしてそんな感情を我が子に抱いた私に失望するかもしれない。
私は自分自身の保身を選択した。
その罪悪感を相殺するように香菜に会い、話に耳を傾ける。
「ママとランチしたの・・・・」
そんな自分以外の存在も口にする事が増えた頃
「昔、皆で行ったレストランに友達と行ったの!」
そんな会話も挟むようになった。
”皆”の中には柚菜も含まれているのだろうか?
香菜の中には未だ妹の存在は残っているのだろうか?
柚菜の中から姉が消えてしまっているのでは
無いだろうか?
家族という存在は生きる糧にもなるが
足枷になる事もある。
我が家は何方なのだろうか・・・
流れた。
幸か不幸か柚菜の記憶喪失は長期戦にならず
あっという間に再度 一那君に奪われてしまった。
不覚にも心情的には2度 嫁に出した気分を
味わってしまうとは。
記憶が戻ったと実家に息も絶え絶えに戻って来た
娘を目の当たりにした妻と使用人はそっと涙するほど
痛々しかったと後に聞いた時は殺意を覚えた。
柚菜は何も口にする事はなかったが・・・・
親として何処まで介入すべきなのか・・・
妻は寄り添っているが妻自身、ゲッソリしていく姿に
父親とはなんと無力な存在となのだろうと
己に失望してしまう。
自分に出来る事は香菜の監視だけ。
今の様子だと時すでに遅しの感は否めないが
父として柚菜に寄り添い、弁護士として香菜に接する。
「パパ、忙しいのに私と夕食なんて食べていて良いの?」
ニコニコと笑いながら話す娘は昔と変わらない大事な娘。
その笑顔が例え会うたびに少しだけれどお小遣いを渡している
からだとは思いたくないが・・・
「お前は家に寄り付かないから生存確認だ!」
「なにそれ 急死するような年でも無いし友達と一緒に
住んでるんだから大丈夫よ。」
生存確認と言う名をかたる監視。
心の中で呟く声が香菜に届く事はあるのだろうか?
以前は月に1度も無かったのに今や10日に1回は夕食を伴にする。
最初はギラギラした目をしていた香菜も回を重ねるごとに
落ち着いてきたように思えるのは親の欲目だろうか?
自分の事しか話さない聞かない娘を前に反省を重ねた
娘を邪険に扱ったつもりは無かったけれど娘はそう感じて
おらず、寂しい思いをさせたのかもしれない。
そう思う反面、働き手の自分が頑張ったから今の生活が
成り立っている事を理解して欲しかった。との気持ちも
持ち合わせる。
「ママは元気?」
その問いに嬉しくて涙が出そうになった。
丁度、一那君の取締役就任後で落ち着いた頃に発せられた
言葉。
「元気だよ。 だけどお前が思っている以上に年を重ねたから
たまには顔を出して安心させなさい。」
「そうね・・・顔、見に行こうかな」
「きっと喜ぶぞ」
「うん・・・」
その後、香菜が実家には顔を出さなかったが妻が連絡を取り
ランチをしたと聞いた。
妻はその日 とても嬉しそうに話してくれた。
妻に聴きたかった・・・香菜は大丈夫か?と・・・
怖くて聞けなかった。
妻が傷つくのも怖かったし、自分が我が子に抱いた疑念を
吐露して良いのか。
妻が香菜に対して自分が抱いた感情を持ち合わせていなかったら
悪戯に傷つけるだけになってしまう・・・
そしてそんな感情を我が子に抱いた私に失望するかもしれない。
私は自分自身の保身を選択した。
その罪悪感を相殺するように香菜に会い、話に耳を傾ける。
「ママとランチしたの・・・・」
そんな自分以外の存在も口にする事が増えた頃
「昔、皆で行ったレストランに友達と行ったの!」
そんな会話も挟むようになった。
”皆”の中には柚菜も含まれているのだろうか?
香菜の中には未だ妹の存在は残っているのだろうか?
柚菜の中から姉が消えてしまっているのでは
無いだろうか?
家族という存在は生きる糧にもなるが
足枷になる事もある。
我が家は何方なのだろうか・・・


