目覚めたら初恋の人の妻だった。

柚菜の退院と同時に香菜に連絡を取ったのは
万が一にでもお見舞いになった時に柚菜1人で
香菜の相手をするのでは精神的に良くないと
思ったからだったが、そんな心配は杞憂に終わった。

残念だ。

香菜も柚菜も私にとって、どちらが大事でなんて比べる
事もない。
そう接してきたつもりだしこれからも大事な娘であることは
変わらない。

だけど

正直、ガッカリした。

就職と同時に長女が家を出ると言い出したのは突然だった。

娘は家から嫁がせたい願望もあったし、柚菜なら
1人暮らしの可能性もあったが、ホームステイさえ未経験の
長女が言い出すとは想像だにしていなかった。

新入社員で一人暮らしは難しいし安全に暮らして欲しい気持ちも
あり、こまめに実家に帰るのを条件に援助を申し出たが
「新入社員で馴れるの精一杯なのに実家に
顔出していたら、意味が無い」の談に
妙に納得し、私との外食で手を打ち、心の何処かに
母親より父を優先してくれているような
「ママには内緒にしてね。」の一言に浮足立ったあの時

しかも会えば会社のことやら色々と話も弾み、安心していた
離れていても家族なのだと。

しかし、この日に会った香菜は何時もと様子が違うように
感じたのは報告書のせいなのか・・

柚菜の事故の件を話そうと
「柚菜が・・「あのねパパ~~~」」言葉を被すようにし
結局、事故の話はしないで終わった。

途中で私自身も話さない方がと思ったのもあったが

今まで感じていなかった事が引っ掛かり、胸がザワザワする
香菜は親の事を何時までも
「パパ、ママ」と呼ぶ。

そう言えばいつからだ?

私達は「パパ ママ」呼びを教えた事は無かった。


その日から私は香菜と柚菜を完全に引き離す事にした。

多分、自覚が無い。

一那君が柚菜の夫だという事が。

だからこそ空恐ろしい。

連絡は取り合うが親戚の集まりから会社のイベント、
その他 佐倉家が関わる全ての事から香菜の名を消した。
香菜はきっと無意識に柚菜を傷つける。

今の法律では事件が起きなければ何のアクションも
出来ないし、大事な娘に傷を付けたくなかった。

そう思う一方で娘に見切りをつけた自分もいた。