【真彩side】

私は二人の過去に驚きを隠せなかった。

「私は瑠登さんとの婚約を親に認めて貰うために死に物狂いで頑張ったの!なのに…なのに…!貴方が私の瑠斗さんを!」


白鷺さんは目から大粒の涙をこぼしていた。

「ごめん…なさい…。」

白鷺さんは瑠斗さんとの婚約を親に認めて貰うために頑張ったのに私は軽い気持ちで瑠斗さんとの婚約を…。

私は罪悪感でいっぱいだった。

「っ!あなたが!貴方さえお見合いをしなければ…!私の人生は幸せだったのに!」

私は何も言えなかった。

「ちょっとうるさいんだけど。ヒステリックにならないでよ。」

「うるさい!あんたは黙ってて!」

白鷺さんは私の方に近づいてきて私の首に手を置いた。

「うっ…」

私は苦しくて声が出た。

「あんたなんか…あんたなんか!」

白鷺さんの手にどんどん力がこもってきてそれに比例するように私はどんどん苦しくなる。

誰か…助けて…誰か…

その時。私はある人の顔が浮かんだ。

な…んで今…?

私はじわっと涙が出てきた。

あ…そっかぁ……好きだったんだ。あの人のことがいつの間にか。

私はあの人を想いながら泣いた。

今更…気づいても…遅い…かなぁ…

意識が遠のく。

そんな時だった。

バンッと大きな音を立てて倉庫の扉が開いた。

あ……なんで…来ちゃうのかなぁ…。

逆光だけど分かる。

来てくれた。

私の所に…来てくれたんだ。


「真彩っ!」

愛しい人が私の名を呼ぶ


【第一章 完】