「し、時雨くん。」

私がそう呼ぶと時雨くんは嬉しそうに笑った。

あ…笑った…。

「…どうかしたか?」

「え?」

「顔…真っ赤だぞ?」

っ!

「そ、れは…」

時雨くんが笑うから…。私、時雨くんの笑った顔に弱いのかもしれない。

「気にしないでください…」

私は、恥ずかしくなって顔を手で覆った。

時雨くん…いつ会ったのかちゃんと思い出したいな…。

私がそんなことを思っているとそろそろSHRが始まる時間だと気が付いた。

「あ。ごめんなさい。そろそろ戻ります。」

時雨くんはどうするんだろう…

私がジッと見ていると

「…俺はここに居るから。」

と、言われた。

「そ、そうですか。では、失礼します。」

一礼して私は屋上を出た。

急がないと…

私は駆け足で教室に戻った。

教室に入るとまだ先生は来ていなかった。

よかった…

私は窓川の自分の席について窓の外を眺めた。

少し雲行きが怪しいな…朝、慌ててたから天気予報も見てないし…雨が降らないといいんだけど…。

私は外を眺めながらそんなことを考えていた。

「真彩!」

いきなり横から凄い勢いで抱きつかれた。

「うわっ!」

「真彩真彩真彩~!」

私に抱きついてきたのは友達の暁 凛(あかつき りん)ちゃんだった。