【完】好きだからそばにいるんだよ

「あの、桐斗くん」




「何だ?」




「矢島さんと桐斗くんって、小学校から一緒だったって聞いたけど、そのきっかけは何だったの?」




「きっかけか。どうしたんだ?急にそんなこと聞いて」




「知りたくて。私、2人のことよく知らないから知って、少しでも2人がまた仲良くなれるように協力したいの....!」





これが少しでも仲直りに繋がるなら知っておきたい。





日和の真っ直ぐな気持ちに桐斗は思わずフッと笑ってしまった。





「お前にこんなに心配かけられるなんて。しかもまた仲良くなれるように協力するか。少し会わない間に日和はお節介になったな」




「ごめんね。お節介だったよね....」





お節介と言われて落ち込む日和の頭に手を置いて桐斗は言った。





「謝ることはない。日和なりに俺たちのことを心配しているのは伝わっている。そうだなぁ。確か木乃実と一緒にいるようなったのはあの時からだったな」







それはまだ2人が小学校低学年くらいのこと。木乃実はその時、今とあまり変わらずおとなしい子で、周りから避けられ気味だった。






そんなある日、木乃実は同じクラスの子たちからいじめられていた。






「矢島ーなんか話せよ」




「黙っていて楽しいの?友だちと話す方が楽しいと思うんだけどな」





男子も女子も関係なく木乃実に言いよる。木乃実は怖くて服の袖を握り、下を向いて今にも泣きそうになっていた。





話したくないの。怖いの。私は1人がいい。誰も私の世界に入ってこないで...!





「1人がいいって言ってんだから構わなくていいんじゃないか?」





「桐斗!」






からかっていた男子の1人が桐斗の登場に驚いた。






桐斗は当時、小学生とは思えないほど性格が周りより大人びていて、それは周りからしたらボス的な存在となっていた。