【完】好きだからそばにいるんだよ

購買でお弁当を買って、食事を終えた2人は渡り廊下を通って教室に戻ろうとしていた。








矢島さん、あまり食べていなかったな。無理はないか。








悩みを抱えている時は、食欲がなくなるもんね。







私は逆にやけ食いして、食べすぎる方だけど。







あそこにいるのって桐斗くん?あ、こっち見た。矢島さんの方を見ている。





チラッ






日和が木乃実の方を見て、気づいているか確認した。木乃実は目を逸らして日和の後ろに隠れた。








桐斗が近づくと木乃実の体はビクッとしてしまい、その場を逃げてしまった。







「矢島さん!」






「なんだよアイツ」






「怖いんだよ。桐斗くんと話すの...」






「怖い?」





「うん。ケンカしたばかりで、どう話していい分からないし、また同じようにケンカを繰り返すんじゃないかって思っているんだよ」









ケンカをしたら気まづくなる。








私も友だちとケンカしたら目を合わせることも出来ないし、言葉が出なくて逃げ出してしまうかもしれない...。










「そうか....。なら一体どうしたら木乃実と話せるんだよ。俺、アイツと何年もいたのに、アイツのこと全然分からねぇ」








何年もいたのに分からないか。なんか分かる気がする。








私も白矢くんと付き合って半年が経っても全然お互いを理解していなかった。









気づけたのは最近のことだったし。矢島さんと桐斗くんは私たちより長い時間過ごしていた。








それってまだお互いが遠慮しているからなんじゃないかな?









気持ちに遠慮があるから本当の姿が見えなくて、それが2人をすれ違わせてしまう。








なら、どうしたらいい?私が2人を理解することが出来れば変わるのかな?







うーん。考えている暇はない。








時間が経てば余計2人の溝は広がるばかり。私が少しでも行動しないと...!