【完】好きだからそばにいるんだよ

「木乃実...!待てよ!」








すぐに追いついて、木乃実のことを何度も呼んだ桐斗。








しかし木乃実は聞く耳を持たず、スタスタと早歩きで桐斗との距離を遠ざけている。









「はぁ....。お前はいつもそうだよな。何かあるとすぐ黙って話そうとしない。いるとほんと、疲れるな。日和と話している方が俺的には楽しいわ」








木乃実に呆れた桐斗の口から本音が溢れ始めた。








「高校生になったんだからいい加減自分で話せよ......」









「桐斗に何が分かるのよ!?私は私なりに話そうと頑張っているのに....余計なお世話よ!別に話さなくたってやっていけるし......」








堪忍袋の緒が切れた木乃実は感情に任せるまま、桐斗にぶつけた。








木乃実自身もこのままじゃいけないことは分かっている。







それでも今まであまり話さなかった分、人と話すのはとてもハードルが高い。








「衣装、見てほしかった。桐斗に見せて褒めてほしかった。なのに、日和日和って....。私より中原さんとの会話の方が最近多いし」








声が届かない、自分の気持ちが伝えられない。








唯一伝えられる桐斗は最近ずっと、日和と話してばかりで寂しい思いをしていた木乃実。







「それは日和が転校してきたばっかっで、少しでもここのことを教えようと。木乃実だって最近ずっと、手芸部で衣装作ってたじゃないか!?」








そんなに日和が大切か。








木乃実は今の桐斗には自分が見えていないことを知り、日和を恨む気持ちが生まれた。








「はぁはぁ。2人は?」







2人のあとを追ってきた日和がようやく追いついた。







いた...!ケンカしてる!?ど、どうしよう。








「アンタ...」






「日和!?」





日和に気づいた2人。すると木乃実が日和に近づいてきた。







「アンタには絶対に負けたくない...!私と勝負しなさい!」







そ、それって宣戦布告....!?何が一体どうなっているの!?