【完】好きだからそばにいるんだよ

「日和が背中にいると俺も温かいな。このまま寝ちゃいそうだ」






「ね、寝ないでね!私、落ちちゃうから」






今にも寝そうな心地良さ。日和はそこから離れたくなかった。






「ふっ。冗談だ。それに俺は何があっても日和を離さないよ」







そう言って、支えている腕に力を入れて落とさないことを証明する白矢。







「もう!白矢くんはいつもそうなんだから。さっきまでずっとカッコイイなって思ってたのに...」







「ん?最後の方聞こえなかったからもう一度言って?」





こんな時でも意地悪してくる白矢くん。私のことを思って、やってくれたことだと思う。少しでも笑ってくれるように。






沢山心配かけたもんね。私も白矢くんには笑顔見せたい。安心させたい。






「いや。白矢くんが意地悪なのが悪いんだからね」









怒った日和は顔をうづくめて、しばらく黙り込む。







「ごめん。もう意地悪しないから。顔を上げてくれないかな?」







「ほんと?」






「本当だ」




その言葉を信じて日和は顔を上げる。けどすぐにまた、顔をうづくめてしまった。





「日和?」






「やっぱり無理。白矢くんにこんな顔見せられない....」






またおばぁちゃんのことを思い出して泣いているなんて白矢くんに知られたらどう思われるか。







「あそこにベンチがある。1度そこで休憩しよう」





日和をベンチに下ろした白矢は、近くの自動販売機でココアを買ってきた。






「好きだろ?ココア」





「覚えていてくれたんだ。ありがとう」