【完】好きだからそばにいるんだよ

伝えなきゃ。私が今、出来ることはおばぁちゃんに今までの気持ちを伝えること。





もし、おばぁちゃんが聞いているなら、聞こえているなら帰ってきてくれるはず。






私はその可能性にかけることにした。






「おばぁちゃん。私も木乃実ちゃんと同じように、今まで言いたかったことを伝えるね。




私の名前の日和は、おばぁちゃんが付けてくれたんだよね?




『お日様のように温かくて、優しい笑顔を周りの人に届けられる子になりますように』って。




おばぁちゃんが付けてくれた名前の通り、私は皆に笑顔を届けられる子になったよ。





私が小さい頃、おばぁちゃんはいつもそばに居てくれた。だからぴよ吉さんがパンになった。




ぴよ吉さんがパンになったのって、おばぁちゃんにパパに言ってくれたんだよね?




おばぁちゃんが私の描いた絵を見て、それを私が好きなパンにしてほしいって。





小さい頃は笑顔が今よりもなくて、ただボーッとしているだけだった私が少しでも笑顔になるように。




おばぁちゃんのおかげでぴよ吉さんのパンが出来てから私は笑顔になることが多くなった。





その提案がなければ、私は笑顔にならなかったし、こんなに優しい人たちに囲まれなかったよ。





本当にありがとう。これからもおばぁちゃんの前では笑顔でいたい。届けたい...!




おばぁちゃんに私の笑顔を。......だからお願い。私にもう一度、おばぁちゃんの笑顔を見せてよ...!」








拭っても拭っても、流れる涙がこぼれ落ちた。祖母にもう一度、会って話したい、笑顔を見せたい。








そんな2人の気持ちは祖母にしっかりと届いていた。








医師たちの目が変わった。それはとても信じられないことだった。奇跡と言っても過言ではない。







祖母の心臓がまた動き始めた。







急いで治療を再開する医師たち。






「おばぁちゃん生きてー!」






日和は最後の力を振り絞って、祖母に向かって叫んだ。