【完】好きだからそばにいるんだよ

そのせいか、私は家族の温かみを知らないまま育って...。それでいつも、『家族』ってこんなに冷たいものなのかな?って思っていた。




でもね、日和のおばぁちゃんの家に行ってからそれが私の中で変わったんだ。




何気ない会話、温かい料理。1人でいることが多かったから料理の味もまともに分からなくてね。




けど、おばぁちゃんの家で日和と3人で鍋を囲んで食べて。とても美味しかった。





私が悩んでいるのを見て、おばぁちゃんは私の手を握って、私の目を見て優しい声で私と真剣に向き合ってくれたよね?




温かい。『家族』って、温かいものなんだって初めて知ったんだ。




それから少しずつだけど、自分から両親と話すことが多くなって、冷たかった家の空気がほんのりと、温かくなったんだよ。




本当なら、これは直接話して伝えたかった。これも全ておばぁちゃんのおかげだって。




本当にありがとうございます。私に家族の温かみを教えてくれて。.....だからもう一度お話しようよ?」






木乃実にとって、日和の祖母はかけがえのないもの大切な人。日和と同じように少しの可能性を信じている。







木乃実の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。すぐに拭い、日和と目を合わせる。





『次は日和が伝える番だよ』と言っているみたいだ。





木乃実ちゃんありがとう。おばぁちゃんを大事に思ってくれて。孫の私がもっとしっかりしないと。情けない姿をこれ以上見せる訳にはいかない...!






日和は立ち上がり、マイクの前に立って、祖母に話しかけた。