事務員をしている茅原芽衣(ちはらめい)は、仕事帰りにわくわくしながらスーパーに寄る。二年前までは、ご飯を作るのが億劫な日々が多かったが、今ではご飯を作るのが楽しい。

二年前、彼氏だった江頭壱成(えとういっせい)に浮気をされて捨てられた芽衣は、高校の同級生だった浪川翔(なみかわしょう)に慰められ、そのまま一夜を共に過ごしてしまった。

芽衣はとんでもないことをしたと焦ってしまったが、翔は芽衣のことがずっと好きだったと話し、アプローチを受けてお付き合いをすることになった。そして今、二人は同棲している。

壱成と同棲していた頃とは比べ物にならないくらい、芽衣は毎日を楽しんでいる。翔は家事を一緒にしてくれて、作ったご飯を「おいしい」と言ってくれて、些細なことで「ありがとう」と言ってくれる。そんな翔の隣にいることは、芽衣にとって何よりも居心地がいい。

「今日は煮込みハンバーグにしようかな」

お肉を取ろうと左手を伸ばすと、薬指に宝石の入った指輪が目に入る。それを見て、結衣は幸せから微笑んだ。最近、翔からプロポーズをされて「はい」と返事をしたばかりだ。