ファーストソング

「千冬ちゃん、今後の話をしようか」


重たい瞼を必死にあけながら先生の話を聴く。

今後の話…?
こんなに身体が重いのに私に未来なんてあるのかな?
夏輝に曲を渡して一週間経った。
彼には曲が完成するまでは病室に来ないように伝えた。

私の身体のことだもん。
私が一番よくわかってる。

私に今後なんてない。
私に未来なんてない。


「今日から少し窮屈になると思うけど酸素マスクをつけよう。 少しでも身体に酸素をいれないとだからね」


そう先生がいうと鈴さんが私に酸素マスクをつけた。
幾分は呼吸がしやすくなり瞼が軽くなる。


「千冬ちゃんの身体の機能がね。 大分弱くなってきてるんだ。 だから呼吸が少しだけしにくいんだよ」
『…はい』
「だから酸素マスクをつけると少しだけ楽になると思うからね」


そう先生の言葉が右から左へと抜けていく。
大事な話をしているのに、私には少ない残り時間をどう過ごすのかで頭がいっぱいだった。