ファーストソング

「ここ! 先生にお願いして用意したんだ!!」

そういいながら私を最前席の真ん中へと案内した。
た、確かにめちゃくちゃいい席だけど本当にいいのかな?
そう思いながら夏輝に押されるまま用意された席に移動する。


「出番はすぐだからさ! 確か時間ギリギリ分しか入れないんだよな?」
「そうだね」
「よっしゃ! 時間ピッタリに始められるようにガンバリマス!」
「頼むよ?」
「サー! イエッサー!」


夏輝が手をぶんぶん振りながら去っていく。
私は小さく答えながらきょろきょろとあたりを見渡した。
同年代の子たちが楽しそうにしている。


「…いいなぁ」


つい口から零れ落ちた。
長年しまってきた感情。
私がもう少し健康だったら、もう少し生きることができたら学校に通えていたかもしれない。


「じゃあさ着てみる? うちの制服!」
「え?」


唐突に話しかけてきたのはさわやかなイケメンさん。


「俺、夏輝の友達の慎太郎! アイツからよく千冬ちゃんのこと聞いててさ。 実際に会ってみたかったんだよな!」


夏輝が私のことを?


「私千冬です。 夏輝から聞いているって…?」
「ん? すっげぇ可愛い彼女がいるって話!」
「っ!」


そ、そっか。
すっげぇ可愛い彼女…。
嬉しい…!


「文化祭って結構中学生がくること多いんだよ。 高校選びの一つとして見に来てるって感じ!」
「そうなんだ」
「そうそう! だからその子たちように制服の試着会みたいなのがあってさ! ぜひどうかなって!」
「えっと…、うれしいんだけどこの状態でも着て大丈夫かな?」


私は車いすをぽんぽんっと軽くたたいた。


「全然大丈夫! 着替えるのは女子が手伝ってくれるし! 試着室はすぐそこだから! 千冬ちゃんがよかったらぜひ!」
「じゃあ、その、お願いしてもいい?」
「おう! 試着会一名追加でーーす!!」


そういうと慎太郎は車いすを押し始めた。